春の風が心地よくなり、桜が咲き始める頃。「やっと暖かくなってきた」と前向きになれるはずの季節なのに、「なんとなく気分が落ち込む」「イライラする」「涙もろくなった」そんな心の揺れを感じる人は少なくありません。
春になると、なぜかメンタルが不安定になる…。そんな経験をしていると、「これって私だけ?」「こんなことで落ち込むなんて弱いのかな?」と不安になることもあるかもしれません。
でも、安心してください。春に心が不安定になるのは決して珍しいことではなく、実は多くの人が感じている「季節性の変化」でもあるのです。
なぜ春にメンタルが不安定になるの?
1. 環境の変化が多い季節だから
春は入学・卒業、就職、異動、引っ越しなど、人生の節目が多い時期。新しい環境に適応しようとすることで、無意識のうちにストレスを抱えてしまうことがあります。
たとえ前向きな変化であっても、「慣れないことをする」というのは心に負担がかかるもの。自分でも気づかないうちに、緊張や不安が積み重なり、心のバランスが崩れやすくなってしまうのです。
2. 自律神経の乱れ
春は気温や気圧の変化が大きい季節でもあります。これらの変化に対応しようと、自律神経がフル稼働状態になりやすく、バランスが崩れてしまうことも。
自律神経が乱れると、睡眠の質が悪くなったり、集中力が続かなくなったり、心の浮き沈みが激しくなるなど、さまざまなメンタル不調が現れることがあります。
3. ホルモンバランスの影響
日照時間が長くなる春は、脳内の神経伝達物質である「セロトニン」の分泌にも影響が出ます。セロトニンは「幸せホルモン」とも呼ばれ、気分を安定させる働きがありますが、分泌のリズムが崩れると不安感や気分の落ち込みが強くなることがあります。

「春うつ」や「季節性うつ」とは?
春のメンタル不調は「春うつ」や「季節性情動障害(SAD)」と呼ばれることもあります。これは特定の季節に気分が落ち込みやすくなる症状で、冬から春にかけて起きる人も多いのが特徴です。
こんな症状に心当たりがある方は、もしかしたら季節性の影響を受けているのかもしれません:
- 理由もなく不安になる
- 寝ても疲れが取れない
- 気力がわかず、物事に興味が持てない
- 何もしていないのに涙が出る
- 人と会うのがつらい
メンタルの不調と向き合うためにできること
1. 自分を責めない
「みんなは元気そうなのに、自分だけ…」と思うと、つい自分を責めてしまいがち。でも、感じ方や心の揺れは人それぞれ。心が疲れているときは、「そんな日もあるよね」と優しく受け止めてあげることが大切です。
2. 生活リズムを整える
春は体内リズムが乱れやすい季節でもあるので、なるべく決まった時間に起き、3食バランスよく食べ、質の良い睡眠をとることを意識してみましょう。
特に朝の光を浴びることで、セロトニンの分泌が促され、心の安定につながるといわれています。天気の良い日は、外に出て深呼吸するだけでも心が軽くなります。
3. 無理にポジティブになろうとしない
「前向きにならなきゃ」と思いすぎると、かえって心が疲れてしまうこともあります。無理に気分を上げようとせず、「今はちょっと立ち止まる時期」と割り切ることも、心を守るうえでとても大切です。
4. 誰かに話してみる
不安や落ち込みを1人で抱え込まないことも大切。信頼できる人に話すことで、気持ちが整理されていくことがあります。
また、気分の落ち込みが長引いてつらいと感じたときは、心の専門家に相談するのも選択肢のひとつです。早めにサポートを受けることで、回復もしやすくなります。

あなたはひとりじゃない
「春になると心が不安定になるのは私だけ?」と感じていたあなたへ。
それは決してあなただけの問題ではなく、多くの人が感じている“心と季節”のリズムのひとつです。季節が移り変わるように、心の調子も波があるのは自然なこと。
無理せず、焦らず、自分のペースで。少しずつでも、自分の心と向き合いながら歩んでいけますように。

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